SIMについて整理しよう

この記事はBBSakura Networksアドベントカレンダー2024の15日目の記事です。

こんにちは。BBSakura Networksでソフトウェアエンジニアをやっている楽野です。普段日常的に何気なく利用しているSIMカードですが、自分自身の理解が曖昧なところもあり今回アドベントカレンダーの場を借りて整理してみようと思いました。

SIMいろいろあって分かりにくい

携帯電話等で利用されているSIMカードですが、ユースケースに応じて様々な種類が存在します。ここでは簡単にSIMの種類を眺めてみようと思います。

形状・サイズによる分類

まず一番分かりやすい形状とサイズによってSIMを分類してみます。 形状は大きく

  • カード型SIM
  • チップ型SIM

に分類されます。カード型SIMは一般的に広く普及しているSIMで、コンシューマ用途で多く用いられています。チップ型SIMは最小のカード型SIMの半分くらいのサイズで、MFF(Machine-to-machine Form Factor)とも呼ばれます。チップ型SIMはカード型SIMに比べ耐用年数や耐熱性能などに優れており、IoT機器など組み込み用途にも使用されています。

Comparison of SIM card sizes
By Jbond2018 - Own work, CC0, Link

次にサイズですがカード型SIMでは次のサイズが規定されています。

カード型SIM

Form Factor 名称
1FF(1st Form Factor ) Full-size
2FF Mini-SIM
3FF Micro-SIM
4FF Nano-SIM

GSM Micro SIM Card vs. GSM Mini Sim Card - Break Apart.svg
By Justin Ormont - Own work, CC BY-SA 3.0, Link

1FFはクレジットカードなどと同じサイズのSIMですが、近年のデバイスではあまり使用されていません。(私はカードリーダでSIM情報を読み出すときなどに使用したりします)マルチカットSIMを購入したときの各サイズ切り出し前の大きさが1FFです。 なお、1FF/2FFはISO/IEC 7810、3FF/4FFはETSI TS 102 221、MFFに関してはETSI TS 102 671でそれぞれ形状が規定されています。

UICCという呼び方

SIMをUICCと呼ぶこともあります。UICCはUniversal Integrated Circuit Cardの略で、SIMのベースとなるsmart cardのことです。ISO/IEC 7816/10536でICカードとしての物理的な特性や基本的なプロトコル・データ構造などが規定され、ETSI TS 102 221でSIMとしてのインタフェース・データ構造の仕様が定められています。UICCはCPU, ROM, RAM, EEPROM と I/O で構成され、UICC上でSIMアプリケーションが動作しSIMの機能(通信プロファイル・AKA認証機能等)を提供しています。

じゃあ、eUICCって何?

embedded UICCのことをeUICCと呼びGSMAで仕様が定められています。元々組込み機器でのSIM利用の利便性を向上させるために検討された仕様で、複数のSIMプロファイル(ある通信キャリアと通信するのに必要な情報が記述されているファイル)を保持し選択して利用する、遠隔でプロファイルの書き換えが行える、などの機能があります。

紛らわしいeSIM

最近よく耳にするeSIMについてですが、組み込みを表す “embedded” と リモートプロファイル書き換え・マルチプロファイルを表す “eUICC” の2つの意味を持っています。

  • embedded SIM

    • チップ型SIMであるMMFタイプのSIMを指します
  • eUICC SIM

    • 遠隔でプロファイルを書き換えられるSIMであれば形状は問わず、カード型・チップ型のどちらもeSIMと呼ぶことがあります

よって、eSIMであってもプロファイルのリモート書き換えが行えないSIMも存在しますので文脈に注意が必要です。

その他の名称

元々SIMはGSMという2Gの携帯電話システムで利用が始まりました。その後3Gの時代で UIM(W-CDMA用) R-UIM(CDMA2000用) などシステムに応じた異なる名称が用いられるようになりましたが、現在では特に区別せずSIMと呼ぶことも多くなっています。

おわりに

今回は広く一般的に普及しているSIMについて種類や名称を簡単に整理しました。 近年ではSIM用に専用の集積回路を必要としないiSIM(Integrated SIM) / SoftSIMも市場に登場しています。日本では3G以降本格的にSIMの採用が始まりましたが、今後携帯電話の加入者情報をさらに便利に取り扱えるサービスも生まれてくると思います。今後もSIMやその他モバイルに関する記事を書いていく予定です。

最後までお付き合い下さりありがとうございました。記事に間違いや不明瞭な点がありましたら、ご指摘頂けるととても嬉しいです。