OCXを支える技術 番外編2「NaaS」をやさしく伝えたい――小冊子『できるNaaS』制作秘話

本記事は、連載「OCXを支える技術」の一記事です。記事一覧は、本記事のタグ #OCXを支える技術 からご覧になれます。

はじめに

こんにちは。BBSakura NetworksのOCXコンテンツ制作チームです。

わたしたちBBSakura Networks(以下、BBSakura)は、NaaS(Network as a Service)(注*1)として、OCXというサービスを日々開発しています。

ただ、NaaSはまだまだ社会にとって新しい概念です。その社会的意義やメリットを、わかりやすく伝えていくにはどうしたらいいか……? エンジニアが開発したすばらしい技術を、もっと広めていくには……? そうした問いに日々考えをめぐらせています。

そこで今回は、小冊子『できるNaaS』の制作過程を通して、OCXコンテンツ制作チーム(以下、「制作チーム」と呼称)の〈技術〉について、お話していきます!

『できるNaaS』とは

『できるNaaS』とは、BBSakuraとともにOCXを共同開発するBBIX株式会社が、株式会社インプレスとともに制作した、完全オリジナル小冊子です。

『できるNaaS』書影
『できるNaaS』書影

NaaSについて多くの方に知っていただくために、一般向け技術解説書で30年以上の実績のある「できるシリーズ」と手を組み、特別版として小冊子を制作しました(注*2)。

全24ページで、NaaSに関する基礎知識や社会的な意義、ユースケースについて解説しています。

今後、PDF版の無償配布や、展示会などでの冊子版の配布を予定しています。

『できるNaaS』制作のきっかけ

イラスト。スーツを着た営業風の男性が、年配の男女に説明をしている。

OCXは、NaaSと呼ばれる形態のサービスのひとつです。

ネットワークをクラウドサービス化するというNaaSの基本概念は、IT技術者の方々は比較的想像しやすいかもしれませんが、一般的な認知度はまだまだ。技術に明るくない人でも、NaaSがどんなものか理解できるコンテンツを作れないか……。そんな問題意識から、今回の制作に至りました。

わたしたちが特に気をつけたのは、「正確な情報を、簡潔に表現すること」。ともすれば説明が複雑になりがちな最新のネットワーク技術情報やIT業界の動向を、なるべくわかりやすく伝えることに苦心しました。インプレス側の制作チームのお力添えもいただきつつ、よりよいものに仕上げていきました。

コンテンツの制作過程と役割

今回の制作プロセスは以下のとおりです。

事前準備・取材

関係者同士で、制作全般にかかわるルールや前提、スケジュールを共有します。また取材や打ち合わせを通して、制作の前提となる知識も共有します。

ラフ

今回のコンテンツに盛り込むべきトピックや、紙面上の配置を決めます。

初校〜再校〜最終校

デザインされた紙面に、実際の文章や図版を載せて、原稿チェックを行います。再校のあとは、三校・四校……と続くこともあります。スタッフ内で内容を合意できたら、晴れて「校了」です。

より一般的な雑誌・デジタルコンテンツの制作フローについては、以下のサイトも参考にしてみてください。

www.edit-u.com
jinji.shogakukan.co.jp

イラスト。ノートパソコンの前でマウスを触り、画面を見つめている女性。

また一般的に、コンテンツ制作には、以下のような人々が関わっています(注*3)。

ディレクター/編集者

コンテンツ全体の方向性を考え、伝えたい内容を適切に表現する方法を考えます。媒体のブランドや掲載方法も勘案しながら調整も行う、制作の中心となる役割です。

ライター

文章の執筆を行います。話し言葉(口語)と書き言葉(文語)は異なるため、読みやすい文章にすべく、表現を工夫します。またインタビューや座談会の場合は、録音・録画データからテキストを文字起こしし、構成も行います。

イラストレーター

企画に沿ったイラストの制作を行います。文章では伝えづらいことを視覚で表現する大切な役割です。

DTPオペレーター

ディレクター/編集者の指示に沿って、InDesignなどのソフトを使って紙面を制作します。文章やイラストを流し込み、見た目の細かい修正を行うほか、印刷物の場合は、色味の調整を行うことも。「制作」と呼ばれることもあります。

校正・校閲

内容のファクトチェックや、誤字脱字の確認といった一次確認(素読み)から、言葉の使い方や意味に関する指摘まで行います。

今回はこうした役割を「できるシリーズ」編集部に委託しましたが、BBSakuraも制作に大きく関与しています。

偶然ではありますが、BBSakuraにはイラストが描ける人や、装丁やDTP、編集・ライティングの経験者がそろっていました。それぞれのスキルを活かし、チーム一丸となって制作に取り組みました。(本記事に掲載しているイラストも、実はスタッフの描き下ろしなんです!)

ラフ(素案)の制作

イラスト。ノートパソコンの前に男性が、横にロボットがいる。画面に表示された資料について男性とロボットが意思疎通している。

先述したように、『できるNaaS』はNaaSという言葉をはじめて聞く人も、楽しく読める内容にする必要がありました。

ですので、最初は「as a Service」という概念の説明からはじめ、セキュリティやAIといった話題にふれながらNaaSの概論に入っていくことにしました。そしてNaaSのユースケースを例示しつつ、大企業の場合・中小企業の場合・地方自治体の場合……と、各論を伝える構成にしました。最後には、わたしたちBBSakuraが共同開発するOCXを例に、その使い方を紹介しています。

イラストやビジュアルも大切な要素です。最終的な仕上がりを想像しながら、見出しやイラストの位置、文章の内容を決めていきました。また社内のエンジニアにも多くの意見をもらいました。

初校から最終稿までの制作

イラスト。文書の前に棒グラフと円グラフが重ねられている。

ラフを踏まえて、実際に「できるシリーズ」編集部から届いた原稿をチェックしていきます。クオリティをさらに高め、「正確な情報を、簡潔に表現する」ために、以下のことに気をつけました。

具体的なデータを添える

クラウドやIT業界に関する各種統計は、各省庁や企業が詳しいデータを公表しています。特に今回は総務省や経済産業省の調査データを盛り込みました。具体的な数字や事例があると、紙面の説得力もぐっと増します。もちろん、データや文書の引用をする場合は、出典を明記し、著作権法を遵守しているか、必ず確認します。

より簡潔な言い換えを模索する

テクニカルライティングと呼ばれる分野があります。業務マニュアルや技術仕様書、オンラインヘルプ作成などで、ユーザーに正確に情報を伝える手法として注目されています。わたしたちも今回の制作に当たり、テクニカルライティングを参考にし、できるだけ簡潔な表現をめざしました。

サイボウズ・仲田さんが公開している以下の資料は、たいへん参考になります。エンジニアの方も、そうでない方も、ぜひ一度目を通してみてください。

speakerdeck.com
gihyo.jp

おわりに

制作チーム一同、限られた時間で全力を尽くし、よいコンテンツが作れたのではないかと思っています。『できるNaaS』をお見かけの際は、ぜひこうした制作過程についても思い出していただけたら幸いです。

ありがとうございました!

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*1:「NaaS」、「Network as a Service」はみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の登録商標です。当社は商標の使用許可を得ております。

*2:『できるNaaS』は、著者の清水理史氏および株式会社インプレスが著作権を有しています。

*3:ここで記載しているのはあくまで一例です。実際は、そのコンテンツの制作体制やスケジュール等、個別の案件によって差異があることをご了承ください。

OCXを支える技術 #5 OCX光 プライベートのサービス・技術紹介

本記事は、連載「OCXを支える技術」の一記事です。記事一覧は、本記事のタグ #OCXを支える技術 からご覧になれます。

こんにちは! BBSakura Networksの山崎です。

わたしたちBBSakura Networks(以下、BBSakura)は、NaaS(Network as a Service)*1として、「Open Connectivity eXchange(以下、OCX)」というサービスを日々開発しています。

OCXは、データセンターとクラウド事業者との接続や、データセンター間の接続といった、ネットワークに必要な機能をクラウド化し、ユーザがウェブから扱えるようにしたサービスです。 OCXのサービス概要については、過去の解説記事もぜひご覧ください!

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さて、OCXでは、2024年3月より新メニュー「OCX光 プライベート」の提供を開始しました。 「OCX光 プライベート」とはいったい何か? どんなことができるのか? 解説していきます。

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OCX光 プライベートとは

「OCX光 プライベート」は、「フレッツ光」*2の網(ネットワーク)から、OCX網内への接続を可能にするサービスです。これにより、例えば、リモート勤務をしている社員の自宅から、クラウドやオンプレミスのデータセンターにある社内環境へ接続したい、といったニーズに対し、セキュアかつ低価格で応えられるようになりました。

そもそも、OCXで扱っている光コラボサービスは、光インターネットと光 プライベートの2種類があります。大まかなサービスの差異を記したものが下表です。

OCX光 インターネット OCX光 プライベート
想定ユーザー インターネット接続をしたいユーザー
※OCX閉域網の接続なし
OCX閉域網に接続したいユーザー
通信区間 インターネット OCX閉域網
※アクセス回線にはフレッツ光を利用し、そのIPoE上にトンネルを構成する。IPoEをそのまま利用することでIPv6インターネットにも接続可能。
CPE ・NTTのホームゲートウェイ(HGW)をレンタル
・ユーザー側での用意
※一部CPEではHB46PPに対応。
対応ルーターは順次追加・公開予定。
ユーザー側での用意
※推奨CPEはドキュメントサイトで紹介


開発の経緯

OCXは、多様化するネットワークのニーズに応えるべく開発されているNaaSサービスです。クラウドやオンプレミスのデータセンター同士を接続するOCX網へのアクセス手段を増やし、より使いやすいサービスにすることが、開発の大きな動機でした。

これまで、OCX網へのアクセス手段は、専用線やダークファイバーに限定されていました。このラインナップを増やすため、NTT東日本/西日本が提供しているフレッツ光の回線を使うことにしました。

実は、BBSakuraは光コラボレーションモデル(通称:光コラボ *3)事業者でもあります。また、BBIXはIPoE方式の接続(Virtual Network Enabler、通称:VNE *4)事業者としての側面も持っています。

こうした条件が揃っているため、IPoE方式をベースに、光コラボのサービスを開発することになりました。

「Tunnel Gateway」の開発

OCX光 プライベートの肝となる機能が、「Tunnel Gateway」です。

これはOCXの閉域網に接続するためのトンネル終端機能です。Tunnel Gatewayによって、OCX網内にユーザーが構築した閉域網と、ユーザーの宅内ネットワークの間を、IPIPトンネル(IPv4 over IPv6)で接続できます。また標準で冗長構成を提供しています。

2024年5月現在、Tunnel Gatewayに収容できる回線数は、上限値を設定しています(1つのTunnel Gatewayあたり最大20回線。1つの組織で5つまでTunnel Gatewayを契約でき、1つの組織で最大100回線が上限値になります。)

その他、詳しい仕様や料金は、ドキュメントサイトのご確認のうえ、お問い合わせください。

どんなことに使えるのか

OCXが想定しているユースケースとして、各地に店舗がある飲食チェーン店を想定した事例を挙げます。

各店舗には、アルバイトスタッフや社員が利用する端末があり、そこから社内の勤怠システムや、パブリッククラウド上の在庫データにアクセスしたい、というニーズがあるとします。

OCX光 プライベートの活用場面として、次のような事例が挙げられます!

OCX光 プライベートの活用事例を示した図。左側にある4つの店舗が、NTT東西のフレッツ光網を経由して、右側のパブリッククラウドや本社データセンターに繋がっている。店舗とフレッツ光網の間は、それぞれIPv4 over IPv6トンネルで接続されている。トンネルの先には「Tunnel Gateway」があり、さらに「OCX-Router(v1)」に繋がっている。「OCX-Router(v1)」からは枝分かれし、パブリッククラウドとの間には「Cloud Connection」がある。パブリッククラウド内には「クラウド上の社内システム」がある。社内データセンターとの間には「VC」がある。社内データセンターには「CE」と「オンプレミス設備上の社内システム」がある。各事例との対応として、店舗Dから本社データセンターへは①の矢印が、店舗Aからパブリッククラウドへは②の矢印が、店舗Bと店舗Cの間は③の矢印が引かれている。
OCX光 プライベートの活用事例を図示したもの。図内の矢印①、②、③が、各事例と対応している。

①店舗の端末から、OCX経由で、オンプレミス環境上の社内システムに接続する

OCX光 プライベートと、OCX上のリソース(OCX-Router(v1)VCVCIPhysical Port)を組み合わせ、接続できます。 Physical Portの先に、オンプレミス環境のルーター等が接続されていることを想定した利用です。

②店舗の端末から、OCX経由で、パブリッククラウド上のサービスに接続する

OCX光 プライベートと、OCX上のリソース(OCX-Router(v1)VCCloud Connection)を組み合わせ、接続できます。 対象のクラウドサービスは、OCXが接続しているものに限ります。(詳細はドキュメントサイトでご確認ください。)

③複数店舗の端末間で、折り返し通信を行う

OCX光 プライベートを、2回線以上用意することで接続できます。 NTT東西をまたぐ折り返しも、Tunnel Gatewayを経由することで行えます。

このように、ひとつの店舗から本社、パブリッククラウド、他店舗への接続が可能になります。

技術的な工夫

最後に、OCX光 プライベートの技術的工夫を記します。

OCX光 プライベートでは、光回線からユーザのCPEに割り当てられるIPv6プレフィックスが変更されても、IPIPトンネルは自動で再接続されます。 IPoEで提供されるIPv6プレフィックスの割り当ては、必ずしも固定ではなく、変動の可能性があります。

OCX光 プライベートでは、IPIPトンネルを終端する、CPE側のアドレスを「CPEエンドポイントアドレス」と呼んでいます。IPv6プレフィックスが変更されると、CPEエンドポイントアドレスも同時に変更されます。したがって、Tunnel Gateway側に設定されている、CPEエンドポイントアドレスも変更する必要があります。

OCX光 プライベートは、IPv6プレフィックスの変更時、自動的にTunnel Gatewayの設定も変更する機構を用意しました。これにより、IPv6プレフィックスの変更によるIPIPトンネルの切断時間を、できるだけ短縮できます。

(※CPEエンドポイントアドレスは、通常はDHCPv6-PDなどのアドレス自動設定プロトコルにより自動的に更新されます。設定の都合でCPEエンドポイントアドレスを直接指定している場合は、手動のアドレス変更を要する場合もあります。)

より深い技術的な背景については、後日、@paina による解説を予定しています:-)

さいごに

今回は、新サービスであるOCX光 プライベートのサービス紹介と、ユースケース、技術的な工夫についてお話しました。

今後もOCXは機能を強化し、サービス改善につとめてまいります。今後のブログ記事もお楽しみに!

*1:「NaaS」、「Network as a Service」はみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の商標です。当社は商標の使用許可を得ております。

*2:「フレッツ光」は、東日本電信電話株式会社および西日本電信電話株式会社の登録商標です。

*3:参考:一般社団法人 テレコムサービス協会「光コラボレーションモデルってなあに?」URL

*4:参考:石田慶樹(一般社団法人 IPoE協議会)「IPoE方式とVNEの役割」URL

Internet Gateway サービス解説

はじめに

こんにちは! BBSakura で基盤となるネットワークを開発している酒井です。

先日、 OCX の新サービスとして Internet Gateway をリリースしました。

この Internet Gateway を用いると、お客さまは OCX 網内から直接インターネットへ接続できます。しかも、このインターネット接続には NAT (SNAT) 機能がついているため、お客さまはインターネット接続のために NAT ルータを別に用意する必要がありません。 既存サービスの Internet Connection でも同様に OCX 網内から直接インターネットへ接続できますが NAT 機能はありません。

今までは NAT 機能込みでインターネット接続を提供する OCX サービスはありませんでした。今回リリースした Internet Gateway を他 OCX のサービスと組み合わせることで、それらの OCX サービスから直接インターネットへ接続することが可能となります。今後もさらに OCX サービスは開発されていきますので、 Internet Gateway との組み合わせで、より柔軟でより便利に OCX を利用頂けるかと考えています。

この記事では、 Internet Gateway の使用方法と一般的な OCX-Router(v1) との接続構成について解説します。

Internet Gateway の使用方法

まず Internet Gateway の各種設定項目と使用の流れについて説明します。

なお、Internet Gateway の使用方法の詳細は ドキュメントサイト で説明されていますので適宜ご参照ください。

設定項目

Internet Gateway を利用するために必要な設定は次の 3 つになります。

  • IPv4 ゲートウェイアドレス
  • (オプション) NAT IP アドレス
  • Static Route

それぞれの設定事項を以降で説明します。

IPv4 ゲートウェイアドレスは、お客さまのネットワークからインターネットへと接続するデフォルトゲートウェイの IP アドレスにあたります。 Internet Gateway では、このデフォルトゲートウェイの IP アドレスをお客さまネットワークの IP アドレス構成に合わせて自由に設定できます。なお、デフォルトゲートウェイはインターネット接続においては不可欠な設定になるため、 Internet Gateway のリソース作成時に IPv4 ゲートウェイアドレスを設定する必要があります。

Internet Gateway リソース作成画面で IPv4 ゲートウェイアドレスにデフォルトゲートウェイとなる IP アドレスを入力しているスクリーンショット。
IPv4 ゲートウェイアドレスの設定

NAT IP アドレスは、インターネット接続時に SNAT するための変換用グローバル IP アドレスのことです。 Internet Gateway リソースを作成すると、デフォルトでグローバル IP アドレスが 1 つ割り当てられます。 Internet Gateway では 1 つのグローバル IP アドレスで約 62,000 の NAT セッションを使用できます。ただし、お客さまのユースケースとして NAT セッション数が 62,000 では足りない場合に、オプションとして NAT IP アドレスを追加し、使用可能な NAT セッション数を増やせます。 OCX ポータル上では追加された NAT IP アドレスは Additional NAT IP Addresses として表示されます。

NAT IP アドレス設定画面でデフォルト割り当てのグローバル IP アドレスと Additional NAT IP Addressesが表示されているスクリーンショット。
NAT IP アドレスの設定

Static Route はインターネットからのダウンロード方向、つまり、 Internet Gateway からお客さまネットワーク方向のルーティングのために設定します。 Internet Gateway は現時点ではダイナミックルーティングプロトコルをサポートしていないため、お客さまネットワークへのルーティングを Static Route で設定する必要があります。例えば、下記のような構成となっていた場合には Internet Gateway の Static Route として、「プリフィックス」には 192.168.10.0/24、「ネクストホップ」には 192.168.100.2 を設定します。

[インターネット] ----- [Internet Gateway](192.168.100.1) ----- (192.168.100.2)[お客さまルータ A] ----- [192.168.10.0/24]

Static Route 作成画面でお客さまネットワークへのルーティングを入力しているスクリーンショット。
Static Routeの設定

使用の流れ

ここでは、実際に Internet Gateway を使用する流れ(手順)を説明します。使用の流れを項目で記載すると次のようになります。

  1. Internet Gateway リソースを作成する
    1. IPv4 ゲートウェイアドレスを設定する
  2. (オプション) NAT IP アドレスを追加する
  3. Static Route を設定する
  4. Internet Gateway を接続したい VC へアタッチする
  5. お客さまネットワーク機器のデフォルトゲートウェイとして Internet Gateway の IPv4 ゲートウェイアドレスを設定する

上記の項目 1 ~ 3 については Internet Gateway の設定項目としてすでに説明済みの内容となります。

Internet Gateway は他の OCX リソースと同様に VC へアタッチすることにより、その他の OCX リソースと通信が可能な状態となります。そのため、項目 4 が必要となります。

また、 項目 5 はお客さまネットワークからインターネットへのアップロード方向のルーティング設定となります。お客さまネットワーク機器や OCX-Router(v1) 等に適切にデフォルトルートのルーティングを設定頂ければと思います。

ここまでの説明内容について設定ポイントを簡潔にまとめた図を下に示しますので参考になれば幸いです。この図では Internet Gateway との接続例として Physical Port を介してお客さまルータを接続しているパターンと OCX-Router(v1) を接続しているパターンを併記しています。

Internet Gateway の使用のために設定が必要なポイントを明示した図。画面最上部に The Internet が雲の形であり、そこに Internet Gateway が SNAT で接続されている。 Internet Gateway には使用の流れで説明した項目 1 - 3 が紐づいている。 Internet Gateway の下には VC が接続されている。 VC には項目 4 が紐づいている。 VC から二股に接続が分かれており、片方は VCI ・ Physical Port ・ お客さまルータ・お客様ネットワーク A と順に繋がっている。もう片方は Router Connection ・ OCX-Router(v1) ・ お客様ネットワーク B の順に繋がっている。お客様ルータと OCX-Router(v1) には項目 5 が紐づいている。
Internet Gatewayの設定ポイント

OCX-Router(v1) と組み合わせた構成

ここでは、 Internet Gateway のユースケースとして OCX-Rotuer(v1) と Internet Gateway の一般的な接続構成について紹介します。

OCX-Router(v1) とは OCX 網内でオンデマンドに利用できるルータ機能です。 OCX-Router(v1) は主にパブリッククラウド接続の際に使用される BGP とともに Static Route の設定も可能であり、 Internet Gateway と組み合わせて使用できます。

簡単な構成図として下の図を用意しました。

Internet Gateway と OCX-Router(v1) を組み合わせて設定するための一般的な構成を示した図。左からオンプレミスネットワークやパブリッククラウドを示した雲、真ん中に OCX-Router(v1) のプライマリが上部に、セカンダリのルータが下部に、右には Internet Gateway と The Internet が並んでいる。OCX-Router(v1) の各ルータからは Internet Gateway 方向に Static Route (デフォルトルート) が、 Internet Gateway から OCX-Router(v1) 方向へ Static Route が矢印で記載されていている。また、割り当てられている IP アドレスとして OCX-Router(v1) に VRRP VIP アドレスが、 Internet Gateway には IPv4 ゲートウェイアドレスが紐づいている。
OCX-Rotuer(v1) と Internet Gateway の接続構成

この構成の主なポイントは 2 点です。

1 つ目のポイントとして、 OCX-Router(v1) の VRRP による冗長です。OCX-Rotuer(v1) はプライマリルータとセカンダリルータのペアで提供され、ペア内で VRRP による冗長化が可能です。いずれかのルータの障害時に通信が継続できるように、OCX-Router(v1) では VRRP で冗長を組むことをオススメします。

2 つ目のポイントは、 Static Route の設定です。 Internet Gateway と OCX-Router(v1) のどちらもお互いに向けて Static Route を設定する必要があります。 Internet Gateway 側は OCX-Router(v1) 配下のお客さまオンプレミスネットワークやパブリッククラウドのネットワークを宛先にし、ネクストホップを OCX-Router(v1) の VRRP VIP に設定します。 OCX-Router(v1) 側はデフォルトルート (0.0.0.0/0) 宛のネクストホップを Interenet Gateway の IPv4 ゲートウェイアドレスに設定します。

このようにして、 OCX 網内のルーティングのハブとしてよく使用される OCX-Router(v1) と組み合わせて Internet Gateway を簡単に利用頂けます。

なお、実際に通信を行なうためには上記の内容に加えて、 OCX-Router(v1) とお客さまオンプレミスネットワークやパブリッククラウド間のルーティングも適宜設定頂ければと思います。

おわりに

この記事では OCX の新サービスである Internet Gateway について解説しました。

Internet Gateway は今後も機能強化していく予定ですので、楽しみにお待ち頂ければと思います。

もし、今回の記事を通して OCX のご利用に興味を持たれましたら、弊社までお問い合わせください!また、不明点などもありましたら遠慮なくお知らせくださいませ。

CTOに就任しました

こんにちは。4月からBBSakura NetworksのCTOに就任した日下部@higebuです。

今までBBSakuraになかったCTOという役職ができ、私が就任しました。

そこで、CTOという役職ができた背景、これから私がBBSakuraでやりたいことについて書きます。

自己紹介

私のBBSakuraでの経歴は以下の通りです。

  • 2019年8月、BBSakura設立と同時にさくらインターネットから出向
  • 2020年4月~2021年3月:開発本部長
  • 2021年4月~2024年3月:全社のテックリード
    • 2021年4月~7月:OCX初期開発
    • 2021年8月~2022年3月:育児休業
    • 2022年8月~現在:モバイル開発グループ グループリーダーを兼任

BBSakura出向前は2016年8月からさくらインターネットで、さくらのセキュアモバイルコネクトを開発していました。さくらのセキュアモバイルコネクトでは独自のモバイルコアを開発しましたが、設立時のプレスリリースにある通り、これがBBSakuraの設立のきっかけとなっています。

BBSakura出向後もさくらのセキュアモバイルコネクトの開発、運用、新規プロダクトの開発などをしながら開発本部長やテックリードを務めてきました。

役職名に関わらず、同じようなことをやってきたのですが、具体的には以下のようなことをやっていました。

  • 注力すべきプロジェクトへのリーダーやプレイヤーとしての参画
  • 新規プロダクトの仕様策定、及び技術選定
  • エンジニアの育成プラン検討
  • エンジニア採用
  • エンジニアと経営陣とのコミュニケーションの橋渡し
  • 両親会社への人事考課フローの整理、及び、メンバーの人事考課
  • 社内で使用するツールの選定及び管理
  • 組織体制についての経営陣への進言

CTOという役職ができた背景と期待されていること

BBSakuraは「全てのモノがつながる社会を支えるテクノロジーカンパニー」を経営理念としていますが、テクノロジーカンパニーとしてのカラーをもっと出していくため、CTOという役職ができました。

そのため、BBSakuraの中でやっていることをもっと外に出していくことを期待されていると思っています。

また、BBSakuraにはCTOとは別に開発本部長もおり、テックリードの頃から同じような役割分担をしていましたが、おおまかに以下のような役割分担になっています。

  • マネジメントをメインで行う人:開発本部長
  • 技術戦略を立案し実行する人:CTO

ただ、今まで同様、社長からは「会社のために技術面でなんでもやる人」であることを期待されていると思います(笑)

何をやっていくのか

BBSakuraは今年の8月に設立から5年になり、組織が大きくなってきましたが、よりスピードを上げて開発していけるようにしたいと思っています。

これには、プロダクトの全体を見られるフルスタックエンジニアを増やすことが重要だと感じています。

BBSakuraでのフルスタックエンジニアとはフロントエンドからクラウドインフラはもちろん、物理、仮想インフラ、SIM、モバイルネットワークまで扱えるエンジニアのことです。(私自身も物理、特にRAN方面は弱いため、まだ名乗れません。。。)

扱っている技術領域が広いため、知識の習得には時間がかかりますが、業務の中で習得できるような流れを作り、プロダクトの開発に活かせるエンジニアを増やしていきたいです。

また、BBSakuraは設立時からフルリモートで業務を行っていますが、人が増えたためにコミュニケーションコストが上がっていると感じており、これを解決する仕組みも整備したいです。

最後に、BBSakuraのエンジニアには、やりたいことがたくさんあるので、それをやれるようにしたいし、それを事業につなげていきたいと思っています。

BBSakuraの新卒社員が社会人1年目を振り返ってみた

こんにちは!BBSakura Networks(以降BBSakura)、モバイル事業本部に所属している佐久間です。普段は、親会社である BBIX のモバイル関連プロダクトの企画業務を担当しています。

この4月で社会人2年目に突入する節目ということで、今回の記事では昨年4月に一緒に入社した同期3名*1にインタビューを行い、BBSakuraでの社会人1年目について振り返ってみました。

友達と韓国に旅行に行った時の写真です(佐久間)
同期の雰囲気を伝えられるよう、インタビューがんばります!(佐久間)

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佐久間:はじめに、自己紹介からお願いします!

Dennis:初めまして、Poon Waikindennisと申します。出身は香港で、日本に来てから 4年目、5年目かな。入社前は日本の大学院で超音速流体の研究をしていました。具体的には、CFD(Computational Fluid Dynamics)を用いて飛行機のジェットエンジン入り口の高速流体のシミュレーションを行っていました。 挑戦し続ける人生が面白いと思っていて、そこにソフトバンクと自分の思いが一致してるので、通信業界に行こうと決めて、ソフトバンクに入社しました。

佐久間:学生時代の専門内容とは全く関係ない分野を選んだんだね。

Dennis:そうそう。今は、BBSの開発本部でOCXの拠点構築を担当しています。 データセンターに行って機器を設置したり、コンフィグを入れたりなど、実際に構築するのはもちろんですが、構築以外の仕事も多いです。 例えばお客さまとの調整や調査とか、部品の調達、機器の購入、各拠点の資料作成など、構築にまつわる一連の業務をやります。

ビールとラーメンが好き(Dennis)
ビールとラーメンが好き(Dennis)

佐久間:Dennis君、ありがとう!では、北村くんも自己紹介をお願いします。

北村:はい、北村瑠唯と申します。仙台出身で、大学時代は経済学部で機械学習を用いて株式市場とSNSの関係性について研究していました。就職活動の時、ITに関連する仕事で、色々なことをやっている会社の方がチャンスがありそうで面白そうだなと考えていて、通信だけではなく幅広い事業をやっているイメージがあったソフトバンク株式会社に入社しました。

今は、BBSの事業本部でOCXのサービス企画を担当していますが、実際はエンジニアがやる仕事以外ほとんど全部をやっています。 サービス設計や事業計画の作成に加えて、営業でお客さまとお話しすることもあるし、広報系の仕事もするし。

趣味の登山に行った時のフィルムで撮った一枚(北村)
趣味の登山に行った時のフィルムで撮った一枚(北村)

佐久間:うんうん。仕事の幅がすごく広いイメージがあるな。 では最後に今井くんお願いします!

今井:今井陽と申します。出身は東京で、入社前は大学院で交通シミュレーション研究をしていました。シミュレーターのコードを書いて色々検証して…ということをやっていて、昔からソフトウェエンジニアに憧れていたので、この業界に決めました。 今は、BBSの開発本部でOCXの新機能開発や機能修正を担当しています。ただ、普通の開発だけではなくて、運用周りもやっています。お客さまから問い合わせをいただいた時に、内部で原因調査をしたり、開発物のリリースをしたり。8割開発、2割運用みたいなイメージかな。

ニューヨークの橋にいい感じに座ってる写真(今井)
ニューヨークの橋にいい感じに座ってる写真(今井)

佐久間:自己紹介ありがとうございます!では、早速なんだけど、今の配属が決まった時はどのように感じましたか?

Dennis:僕は元々、構築展開課を希望していたので嬉しかったです。出張で各地のデータセンターに行けるのが面白そうだなと思っていました。 実際は、データセンターでの作業が長くなることが多いので大変なこともあります(笑)

北村:僕は、入社した時にずっと新規事業に関わりたいと話していたので、希望通りだった印象です。

今井:僕も、めちゃくちゃ希望通りでした。入社前から、小規模でもいいから、実際に手を動かして開発をできるところがいいと言っていて、そこを汲み取ってもらえたのかなと思っています。

佐久間:みんな希望通りの配属だったんだね。では配属後、そこからのギャップはありましたか?

今井:僕は、自分が想像していたよりがっつり開発できるところに来てびっくりしました。実際働き始めてみると、自社開発するベンチャー企業みたいな雰囲気で、ゴリゴリのエンジニア集団という印象です。

北村:あとは、良い意味で自由度が高いなと思います。例えば、出社・リモートの選択はかなり自由にできています。一時期はずっとリモートでしたが、最近は週3日くらいの頻度で出社していて、自分の予定に合わせて、午後から出社することもあります。気分転換でソフトバンク本社のオフィスに行くこともありますし(笑)

佐久間:なるほど、他の二人は働き方についてはどうですか?

今井:僕もテレワークに関しては自由で、配属された当初は、エルダー*2の先輩と顔を合わせて色々と教えてもらうために週1日~2日出社していましたが、今はほぼリモートで働いています。

Dennis:僕は出張が多いのでオフィスに出社することは少ないです。データセンターに行くことはありますが。課のメンバーも小さなお子さんがいたりして、出張以外はリモート中心にされてる方が多いです。

佐久間:ありがとうございます! BBSakuraは東京以外にも、大阪や北海道、栃木など住んでる場所も様々で、働き方は柔軟だよね。 次に、業務をしていく中で大変だったことや成長できたことはありますか?

Dennis:初めは機器の取り扱いが大変でした。一度、作業中に力を入れ過ぎてしまったせいで部品を壊してしまったこともありました。それから部品ごとに何を注意しなければいけないか、気にして作業するようにしています。

北村:僕は、初めは会議や資料に出てくる専門用語が全然わからなかったので、ネットワーク業界に慣れるまでに時間がかかりました。 1年間で成長できたこととしては、いろんな視点でものを見るようにはなれたかなと思います。サービス仕様書を作るにしても、運用保守の方が読んだらどう思うかとか、別の視点を意識するようになりました。

今井:僕は、実は大変だったことがあんまり思いついていなくて。複雑なシステムを持つOCXの開発をやっていて、もちろん最初はわけのわからない中で修正など対応をしなくてはいけないので、内部がどうなっているか学びながら進めるのは大変ではありました。でも、初心者でもできそうなプロジェクトから任せられて、だんだん難易度が上がっていくというように、僕がうまく学びながら成長できるようにタスクを振っていただいていたと感じています。

佐久間:ありがとうございます。では最後に、今後やってみたい仕事や目標があれば教えてください。

Dennis:僕は先日、CCNA*3に合格することができたので、次のレベルであるCCNPに挑戦して、業務で使用する機器やネットワーク全体の理解を深めたいと思っています。

佐久間:おめでとう!CCNAはDennis君の業務に関連する内容なの?

Dennis:そうだね。業務で使うコマンドとほぼ同じコマンドがテストに出てきたりしてました。CCNAに合格すると作業の理解が深まるので、早めに勉強した方が良いと思います。

北村:僕は、事業部として、数字を見ながら事業全体を管理していくというところ、言い換えると、より経営に近いところに興味があるので、財務の部分をもう少し勉強していきたいです。社長の佐々木さんを初め、上位層の見ている景色をしっかり認識しつつ、目の前の自分のタスクも確実にこなしながら業務に取り組んでいきたいです。

今井:僕は、自分で開発内容を考えるところからやりたいなと思います。 一年目の時は与えられたタスクに対応するということがほとんどだったのですが、BBSakuraは作りたいものを提案したらやらせてくれる会社だと思うので、自分で欲しい機能を提案していきたいと思います!

佐久間:みなさんありがとうございました!

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最後に、、、

昨年配属された当初は私含め、ネットワークの専門知識を持っている人はほとんどおらず、みんなが初心者からのスタートでした。しかし今回のインタビューで、同期がそれぞれの場所で諸先輩方から仕事を教えていただき、活躍している様子を聞けてとても嬉しくなりました! また、新卒社員でもBBSakuraらしく柔軟な働き方をしている姿も印象的でした。 これから社会人2年目の年となるので、さらに業務の幅を増やしてBBSakuraの行動指針である「Beyond the border」を体現していきたいと思います。

*1:2023年のBBSakura新卒メンバーは全員がソフトバンク株式会社、BBIX株式会社からの出向扱いとなっています。

*2:エルダー:新入社員一人につきエルダーという先輩社員が一人ついて、業務や会社のことなど、相談に乗ってくれます。

*3:CCNA:コンピュータネットワーク機器の大手、 シスコシステムズ合同会社による認定資格であり、ネットワークエンジニアの入門資格

MWC2024感想レポート

はじめに

こんにちは、BBSakura Networksの秋山です。
今回はスペインのバルセロナで開催されたMWC2024に来場者として参加させていただいたので、その感想をレポートしたいと思います。 MWCとは前回の記事で解説されているように総出展者数2700社以上、参加者は200カ国以上から10万人以上にも及ぶ大規模なモバイル通信関係の展示会です。
自分は普段OCXのバックエンド開発をしており、モバイル通信とは直接的な業務の関わりがない&まだ新卒2年目の若造だったということもあり、正直参加は難しいかなと思っていたのですが、立候補したら快く参加させてくれました。会社には感謝してもしきれません。

全体の所感としては、思ったよりモバイル通信に特化した展示というわけではなく、メインがAIやセキュリティでもモバイルが絡んでいればよしとしているような雰囲気があり、様々な製品を見ることができてとても楽しめました。もちろん、モバイル用のアンテナや監視ツールなど、モバイルに特化したものもあり、5日間ありましたが飽きることはなかったです。

MWC会場前にあったMWCと書かれたモニュメントの写真
MWC会場前にあったモニュメント

面白いと思った展示

6G対応アンテナ

Ericssonさんのブースで6G対応のアンテナが展示されていました。このアンテナはセンチメートル波を採用しており、7GHzから15GHzの周波数帯域を使うことができるように設計されているとのことです。8GHzという広い帯域での通信を実現するために、この四角のアンテナ内部で400MHzの帯域幅を持つアンテナ要素を組み合わせてアレイ(複数のアンテナ素子が連続して配置されている状態)を構成しているとのことで、そのアンテナ要素の制御に関する開発を進めているということでした。6Gが実際のモノとして実現されているのを見るのはこれが初めてで、5Gの先の6Gを既にここまで進めている企業もあるのかと衝撃を受けました。

Ericssonブース展示されていた6G対応の次世代型アンテナの画像
6G対応の次世代型アンテナ

量子通信

スペインの政府機関から補助を受けているグループが集まって量子通信に関する展示を出していました。モバイル通信とは直接的な関係はないですが、認証系で使われることが期待されるとのことでした。画像は量子通信で認証を行っている様子で、ラック内上部の機器が通信の暗号化におけるエンコードをしていて、ラック内下部の機器はその暗号化における鍵の発行を行っているそうです。量子通信は概念を聞いたことがあるくらいでしたが、実際に量子通信が実用化されているのを見るのは初めてで技術進歩の早さを実感しました。

2つのラックの上にそれぞれPCがあり、PCからラック、もう一方のラック、PCへ量子通信ができている様子
量子通信が行われている様子

モバイル銃痕分析機

スペインの警察も展示をしていました。展示されているのはモバイル銃痕分析機で画像の中で床に置いてある部分をリュックのように背負って、ケーブルの先を手に持って銃痕にあてがうようにして使うとのことです。手に持っている部分にはレーザー照射装置が内蔵されており、銃痕にレーザーを当てて、そのエネルギーで散った物質による光の波長変化をカメラで読み取って銃痕を分析するようです。想定されている銃痕として画像にある小さな拳銃の弾からアサルトライフルの弾まで想定されているようで、日本とは想定しているものが違うなと思ったのを覚えています。

モバイル銃痕分析機が展示されており、机の上のPCと繋がっている。机の上には薬莢がおいてあり、拳銃からライフルの薬莢がサンプルとして置いてある
モバイル銃痕分析機の展示

スペインでの生活

今回なぜ自分でもMWC2024に参加できたのかというと、旅程を組んでくださった方が旅費を徹底的に削って下さり、より多くの人間が参加できるようになったためです。飛行機はなるべく安い便で行き、宿もホテルではなくAirbnbで家を丸ごと借りて、参加メンバー全員で泊まっていました。家を借りているため、キッチンや調理器具が非常に充実しており、食事もほとんど参加メンバーで自炊していました。会社の人と一つ屋根の下で生活するというのはもちろん、同じ食卓を囲むという経験は新鮮で楽しかったです。
複数人が各々で食べたいものを作るとライスとピザとハンバーグの山が食卓に並ぶという知見を得ることができました。

各々が料理をした結果食卓に並んだのはライスとピザとハンバークの山
スペインでの自炊の様子

スペイン観光

空いた時間でスペインの観光もしました。遠出するほどの時間はなかったので、自分はバルセロナ市歴史博物館に行きました。ここはバルセロナの旧市街という場所の地下にあるという特徴があります。バルセロナの旧市街は地理的にはかつてのローマ時代に都市があった場所で、現在の旧市街はそのローマ時代の都市遺跡の上に建っている状況です。このバルセロナ市歴史博物館はその地下遺跡に繋がっており、地上は旧市街になってますが、地下に潜ると1000年以上前のローマ時代の遺跡に切り替わるので結構な衝撃がありました。

バルセロナ市歴史博物館の地下にローマ時代の民家などを含んだ街の遺跡がある
バルセロナ市歴史博物館の地下遺跡

最後に

今回のMWC2024での経験はとても貴重なものでした。6Gや量子通信など、今までニュースでしか接することがなかった技術を実際に目にし、スペインで生活や観光を経験することができて、参加の立候補をして本当に良かったと思います。こうした若手でも意欲があればチャンスを掴める環境をありがたく思うと共に、ここで得た経験をなるべく還元しながら来年以降も新たに若手が参加できる雰囲気作りに貢献したいと思います。

おまけ

スペインのゴミ出しは全種類毎日出せるらしく、便利さに感動しました

スペインの道路には大きなゴミ箱があり、毎日回収されている
スペインのゴミ出しはとても便利

MWC2024に参加してきました!

MWC2024とは?

MWCとはMobile World Congressといい、毎年2月末頃スペインのバルセロナで開催されている、世界最大のモバイル通信関係の展示会になります。 いわゆるMNO(Mobile Network Operator)国内だと、SoftBank、Docomo、KDDI、Rakutenだけではなく、Mobile Network向けのソリューションや周辺ビジネスを提供している企業さんも数多く出展されていて、その広さは日本最大の東京ビッグサイトの展示面積の2倍の20万㎡にも及びます。

総出展者数は、2700社以上、参加者は200カ国以上から10万人以上にも及び、コロナ禍で一時期参加者が落ち込る以前と比較しても多くなっています。

MWC2024の概要が記載されている画像、参加者10万人、出展者2700社以上、参加国205カ国
MWC2024

MWC2024全体の展示状況

MWCはその年によってIoTとか5Gとか大きなテーマがあり今回はAI一色になるかなと思っていたのですが、見本市ということもありそんなこともなかったです。 モバイル通信を含む周辺のビジネス全般を展示しているような企業が多く、例えばAIを使って障害のサポートをしてくれるとか、AIを使ってRU(無線ユニット)の設置場所や処理を行う基地局を適切に選定し続けてくれるというような、AIを活用した製品というようなものがちらほらとあるような感じで、あまり最新のという印象はうけませんでした。

中国企業の露出は相変わらずすごい!でも・・・

MWCに行かれたことのある方はご存知かもしれないですが、MWC会場は大きな8つのHallに分かれているのですが、その一つであるHall1の80%〜90%がHuawei社が占めています。1社で10,000㎡程度は占めていて、中国メーカーはいくつかの国では苦境に立たされているとされていますが会場ではまだまだ大きなプレゼンスはあった印象でした。 2018年のファーウェイさんのブースですが、どうでしょう?変わっていますか?変わってないですか?

MWC2024のHall1にあるファーウェイブースの写真、2018年と2024年の比較が出来るようにしている。
Hall1のブースの写真2018年‐2024年

ちなみに・・・

MWCというか、海外の展示会は出展されているそのものを見るというよりも、あらかじめアポイントを取った企業の意思決定権のある人や、次に繋げるためのミーティングがメインになっているという側面があります。そのため展示スペースの大部分がミーティングスペースだったり、そもそも展示しておらずミーティングスペースをメインにしている企業さんも多いです。会場のうちHall7の1/3程度がミーティングエリアになっているというと、どれくらいの企業がミーティングを重視しているかわかりますでしょうか?

MWC2024会場マップ、ミーティングエリアが塗りつぶされている。
MWC2024の会場

個人的に面白いなと思ったもの

会社としてはモバイルコア関係のものや、モバイル通信関係の企業をみてまわったので、そのあたりは他のかたがきっちり書くと思うので、ここでは個人的に面白かったものをいくつかご紹介します。

通常のサーバーを液浸する溶液と専用のケース

通常のサーバーを漬け込んで液冷にしてしまう機材 基本的にはどんなサーバー(メーカーが認めていなくても)も液冷に出来るという説明がされていました。 H100等を搭載したサーバーも稼働実績があるとのことなので、電力は潤沢にあるけど、新しく発熱量の多いサーバー機器を入れたい場合にはサーバールームやデータセンターの冷却機の更新が必要などというような状況であれば、利用もあるのかなと思いました。 ただ、データセンターの運用オペレーションが大きく変わってしまうので、なかなか難しくはありそうです。

サーバーが専用の液に浸かっている写真
液浸サーバー用溶液&ケース

IOWNに利用される(であろう)サーバー

富士通さんのブースに設置されていた、IOWNに利用されているサーバーとのことでした。 高性能で、消費電力に強みがあるとのことだったのですが、展示されている方的にはイチオシは写真の中央部に乗せてあるクーラーボックスだそう。 これは通常のクーラーボックスと入れ替えるだけで液冷にすることができるということを仰っていました。

サーバーの画像
サーバー機材

NECさんのブース

□ 動画送信をスムースにするための仕組み

NECさんのブースでは、モバイル通信を使った場合に必要なエリアのみのデータを送信することによって、動画全体がカクつくのを抑えるような仕組みや通信が遅くなるエリアでは接続先を切り替えて通信をすることによって、動画送信をスムースにする仕組みが展示されていました。 これは自動走行車(レベル3<異常時には人がリモート等で介在する>)などを利用する際に効果的で実用的なものであるなと思いました。

車両から撮影した動画をデータ転送した際の画像貼り付けられている、NECの技術を利用しない場合は動画全体がカクついているのに対し、利用した場合には動画が鮮明になっている。
NECが開発した技術を使う場合使わない場合

□ NECの生成AI

NECの生成AIは動画を読み込ませるとどのような状況であったのかを日本語の説明文を作成出来るというものでした。 実際の動画でも交通事故の動画を読み込ませて、何が起こったかを生成していました。読み込まれた動画はオートバイと自動車の接触事故で生成された文章は、自動車がオートバイの動きをよく確認しなかったため事故が発生したと思われるというようなものでした。 しかし、私が感じたのはオートバイが車線変更を実施した際に、車の確認をしていないために発生したのではないかと感じたので、かなりの乖離があり、利用方法としては、事故発生時の動画を読み込ませて事故の当事者が納得したのなら、そのまま保険等の負担割合を決めて、納得できなければこれまでどおり保険調査員が介在するような形で省力化を計っていくというような使い方でできそうでした。

いずれも実用が近そうで面白かったです。

NECの生成AIの説明画像
NECの生成AIの説明画像

日本ブース!

海外の展示会には各国が国として展示をして、各国のソリューションのアピールをしているものがあります。 日本もMWCの展示で力を入れており、Hall6総務省がすでに製品化されているようなものを持っている企業と、4YFNでJETEROがスタートアップでこれからソリューションが出来るような企業とそれぞれ展示しておられました。

日本ブースの写真
日本ブース
4YFNは4年後に来る(かもしれない)という技術の展示なので荒削りですが、非常に面白いものがたくさんあります!

JETROブースの写真
JETROブース

BBSの継続的な海外展示会参加に向けて

個人的には、特定の人だけが行き続けるというよりはなるべく多くのワカモノに行ってほしいという希望があります。

MWC開催タイミングのホテルや飛行機はめちゃ高です。 普通のホテルでも1泊5万円とかザラで、飛行機も高くなる傾向があります。

なので、普通のやり方ではコスト的に多くのワカモノには行ってもらえないので、下記のようにやっていくのはどうかな?

当たり前ですが、楽しいから行くというような理由は企業では通用しません、きちんと目的とどのような成果が得られるかの説明ができる状態にしておくことは必要です。

そのうえで

 行くこと自体はとにかく早く決めておく

 決めることによって、ホテルその他の予約が非常に安価にできます。宿泊場所も都合の良いところが安く、キャンセルポリシーも有利な場合が多いです。  航空券も早めに抑えることによって、相当コストが抑えられます。たくさんのワカモノに行ってもらおうとすると、こういうのって重要です。

 ちなみに、今回当社の若者たちは、MWC会場から地下鉄で1本、ドア2ドアで20分くらいのところに、Airbnbで一軒家を丸ごと借りて、6日間ほど過ごしていました。最大9名まで泊まれて、6日間で60万円ちょっとなので、なかなかリーズナブルであったのかなと思います。

リビングルームの画像
Airbnbで宿泊した施設

 こういうイベントごとは、決まった人が常に行くというよりは、新しいことに敏感で挑戦をしようとするワカモノにこそ多く行ってほしいと思っていてできれば次のワカモノに同じように紡いで行ってほしいなと思います。

最後に

実は、バルセロナの最終日に会食に行った先でスリにあいました。 スリが多いのは以前行ったときから認識していたのですが、以前よりも会場の治安が良くなっていた気がしており、気が緩んでいたのかもしれないですね。

本当に体の正面に掛けていた、ボディーバックから引っこ抜いていったと推測しています。 正面からチラシのようなものを持って近づいてきて、眼の前でゆらゆらさせて気を引き、その隙に引っこ抜かれた(と思う)のですが、その時には全く気が付きませんでした。

幸い盗られたのはiPhoneだけで、保険が利用できて金銭的な被害は最少で済んだのですがみなさんも行かれるときには気をつけて下さい。

ボディーバックからiPhoneをスられている画像、生成AIで作成されている。
iPhoneをスられた

ちなみに、盗られたiPhoneを「探す」でしばらく見ていたのですが、バルセロナ市内をウロウロした後、バルセロナから車で1時間程度の場所に行って消息を絶ちました、たぶんバラされて売られていったのでしょう。

さて、こんな感じでMWC参加してきましたが、もちろん当社もしっかりと他社さんと面談しモバイルやOCX方面のビジネス面でもいろいろ進めさせていただいております。当社にご興味がありましたら、ぜひカジュアル面談しましょう! www.bbsakura.net

バルセロナの地図、盗られたiPhoneが移動している状態が示されている。
盗られたiPhoneの動き

おまけ。MWCで見た、(本当に)変わったもの

 ひとのみみ型マイクがついたマネキン

 これは、スマホが人の耳にどのように聞こえているのかを測定する計測器です。  ものすごくニッチですが、こういうものもありました。

マネキンの画像
マネキンの画像

 脳卒中かどうかを調べるための装置

 展示していた企業によると脳卒中なのに病院に連れて行くなど適切な処置をしないことによって、死亡する例があるらしく、このヘッドギアをつけて計測すれば病院に行かなくてはならないかどうかがわかるというものだそうで、医療へのアクセスのしやすさが異なる国ではこういった需要もあるのかもしれませんね。

ヘッドギアをつけたマネキンの首部分の画像
ヘッドギアをつけたマネキンの首部分