MWC2024とは?
MWCとはMobile World Congressといい、毎年2月末頃スペインのバルセロナで開催されている、世界最大のモバイル通信関係の展示会になります。 いわゆるMNO(Mobile Network Operator)国内だと、SoftBank、Docomo、KDDI、Rakutenだけではなく、Mobile Network向けのソリューションや周辺ビジネスを提供している企業さんも数多く出展されていて、その広さは日本最大の東京ビッグサイトの展示面積の2倍の20万㎡にも及びます。
総出展者数は、2700社以上、参加者は200カ国以上から10万人以上にも及び、コロナ禍で一時期参加者が落ち込る以前と比較しても多くなっています。
MWC2024全体の展示状況
MWCはその年によってIoTとか5Gとか大きなテーマがあり今回はAI一色になるかなと思っていたのですが、見本市ということもありそんなこともなかったです。 モバイル通信を含む周辺のビジネス全般を展示しているような企業が多く、例えばAIを使って障害のサポートをしてくれるとか、AIを使ってRU(無線ユニット)の設置場所や処理を行う基地局を適切に選定し続けてくれるというような、AIを活用した製品というようなものがちらほらとあるような感じで、あまり最新のという印象はうけませんでした。
中国企業の露出は相変わらずすごい!でも・・・
MWCに行かれたことのある方はご存知かもしれないですが、MWC会場は大きな8つのHallに分かれているのですが、その一つであるHall1の80%〜90%がHuawei社が占めています。1社で10,000㎡程度は占めていて、中国メーカーはいくつかの国では苦境に立たされているとされていますが会場ではまだまだ大きなプレゼンスはあった印象でした。 2018年のファーウェイさんのブースですが、どうでしょう?変わっていますか?変わってないですか?
ちなみに・・・
MWCというか、海外の展示会は出展されているそのものを見るというよりも、あらかじめアポイントを取った企業の意思決定権のある人や、次に繋げるためのミーティングがメインになっているという側面があります。そのため展示スペースの大部分がミーティングスペースだったり、そもそも展示しておらずミーティングスペースをメインにしている企業さんも多いです。会場のうちHall7の1/3程度がミーティングエリアになっているというと、どれくらいの企業がミーティングを重視しているかわかりますでしょうか?
個人的に面白いなと思ったもの
会社としてはモバイルコア関係のものや、モバイル通信関係の企業をみてまわったので、そのあたりは他のかたがきっちり書くと思うので、ここでは個人的に面白かったものをいくつかご紹介します。
通常のサーバーを液浸する溶液と専用のケース
通常のサーバーを漬け込んで液冷にしてしまう機材 基本的にはどんなサーバー(メーカーが認めていなくても)も液冷に出来るという説明がされていました。 H100等を搭載したサーバーも稼働実績があるとのことなので、電力は潤沢にあるけど、新しく発熱量の多いサーバー機器を入れたい場合にはサーバールームやデータセンターの冷却機の更新が必要などというような状況であれば、利用もあるのかなと思いました。 ただ、データセンターの運用オペレーションが大きく変わってしまうので、なかなか難しくはありそうです。
IOWNに利用される(であろう)サーバー
富士通さんのブースに設置されていた、IOWNに利用されているサーバーとのことでした。 高性能で、消費電力に強みがあるとのことだったのですが、展示されている方的にはイチオシは写真の中央部に乗せてあるクーラーボックスだそう。 これは通常のクーラーボックスと入れ替えるだけで液冷にすることができるということを仰っていました。
NECさんのブース
□ 動画送信をスムースにするための仕組み
NECさんのブースでは、モバイル通信を使った場合に必要なエリアのみのデータを送信することによって、動画全体がカクつくのを抑えるような仕組みや通信が遅くなるエリアでは接続先を切り替えて通信をすることによって、動画送信をスムースにする仕組みが展示されていました。 これは自動走行車(レベル3<異常時には人がリモート等で介在する>)などを利用する際に効果的で実用的なものであるなと思いました。
□ NECの生成AI
NECの生成AIは動画を読み込ませるとどのような状況であったのかを日本語の説明文を作成出来るというものでした。 実際の動画でも交通事故の動画を読み込ませて、何が起こったかを生成していました。読み込まれた動画はオートバイと自動車の接触事故で生成された文章は、自動車がオートバイの動きをよく確認しなかったため事故が発生したと思われるというようなものでした。 しかし、私が感じたのはオートバイが車線変更を実施した際に、車の確認をしていないために発生したのではないかと感じたので、かなりの乖離があり、利用方法としては、事故発生時の動画を読み込ませて事故の当事者が納得したのなら、そのまま保険等の負担割合を決めて、納得できなければこれまでどおり保険調査員が介在するような形で省力化を計っていくというような使い方でできそうでした。
いずれも実用が近そうで面白かったです。
日本ブース!
海外の展示会には各国が国として展示をして、各国のソリューションのアピールをしているものがあります。 日本もMWCの展示で力を入れており、Hall6総務省がすでに製品化されているようなものを持っている企業と、4YFNでJETEROがスタートアップでこれからソリューションが出来るような企業とそれぞれ展示しておられました。 4YFNは4年後に来る(かもしれない)という技術の展示なので荒削りですが、非常に面白いものがたくさんあります!
BBSの継続的な海外展示会参加に向けて
個人的には、特定の人だけが行き続けるというよりはなるべく多くのワカモノに行ってほしいという希望があります。
MWC開催タイミングのホテルや飛行機はめちゃ高です。 普通のホテルでも1泊5万円とかザラで、飛行機も高くなる傾向があります。
なので、普通のやり方ではコスト的に多くのワカモノには行ってもらえないので、下記のようにやっていくのはどうかな?
当たり前ですが、楽しいから行くというような理由は企業では通用しません、きちんと目的とどのような成果が得られるかの説明ができる状態にしておくことは必要です。
そのうえで
行くこと自体はとにかく早く決めておく
決めることによって、ホテルその他の予約が非常に安価にできます。宿泊場所も都合の良いところが安く、キャンセルポリシーも有利な場合が多いです。 航空券も早めに抑えることによって、相当コストが抑えられます。たくさんのワカモノに行ってもらおうとすると、こういうのって重要です。
ちなみに、今回当社の若者たちは、MWC会場から地下鉄で1本、ドア2ドアで20分くらいのところに、Airbnbで一軒家を丸ごと借りて、6日間ほど過ごしていました。最大9名まで泊まれて、6日間で60万円ちょっとなので、なかなかリーズナブルであったのかなと思います。
こういうイベントごとは、決まった人が常に行くというよりは、新しいことに敏感で挑戦をしようとするワカモノにこそ多く行ってほしいと思っていてできれば次のワカモノに同じように紡いで行ってほしいなと思います。
最後に
実は、バルセロナの最終日に会食に行った先でスリにあいました。 スリが多いのは以前行ったときから認識していたのですが、以前よりも会場の治安が良くなっていた気がしており、気が緩んでいたのかもしれないですね。
本当に体の正面に掛けていた、ボディーバックから引っこ抜いていったと推測しています。 正面からチラシのようなものを持って近づいてきて、眼の前でゆらゆらさせて気を引き、その隙に引っこ抜かれた(と思う)のですが、その時には全く気が付きませんでした。
幸い盗られたのはiPhoneだけで、保険が利用できて金銭的な被害は最少で済んだのですがみなさんも行かれるときには気をつけて下さい。
ちなみに、盗られたiPhoneを「探す」でしばらく見ていたのですが、バルセロナ市内をウロウロした後、バルセロナから車で1時間程度の場所に行って消息を絶ちました、たぶんバラされて売られていったのでしょう。
さて、こんな感じでMWC参加してきましたが、もちろん当社もしっかりと他社さんと面談しモバイルやOCX方面のビジネス面でもいろいろ進めさせていただいております。当社にご興味がありましたら、ぜひカジュアル面談しましょう! www.bbsakura.net
おまけ。MWCで見た、(本当に)変わったもの
ひとのみみ型マイクがついたマネキン
これは、スマホが人の耳にどのように聞こえているのかを測定する計測器です。 ものすごくニッチですが、こういうものもありました。
脳卒中かどうかを調べるための装置
展示していた企業によると脳卒中なのに病院に連れて行くなど適切な処置をしないことによって、死亡する例があるらしく、このヘッドギアをつけて計測すれば病院に行かなくてはならないかどうかがわかるというものだそうで、医療へのアクセスのしやすさが異なる国ではこういった需要もあるのかもしれませんね。