新卒による、リモートワークでのオンボーディングの振り返り

こんにちは、BBSakura Networks株式会社 の清水です。 私は新卒として、2023年7月よりBBSakura Networksに入社し、普段はモバイルコア*1に関する開発を担当しております。

弊社はコロナ禍より以前からリモートワークを採用しており、私も入社してから現在に至るまで自宅を主な勤務地として活動しています。

本記事では、フルリモートで働く新卒社会人が、7月から現在に至るまで、どのようなオンボーディングを経てグループに馴染んでいったのかについて、私の目線からご紹介させていただきたいと思います。

自己紹介

2023年4月から働き始めた新卒です。6月までは親会社であるBBIX(及びその親会社であるソフトバンク)にて研修を受けておりました。 大学時代はコンピューターサイエンスを専攻していたものの、ネットワークに関する知識は少し勉強しただけ、ましてやモバイルネットワークに関しては何も分からないという状態でした。

配属が決まった直後に、グループの皆さんとオンライン会議でお話しし、その際にモバイルネットワークに関する説明を受けたのですが、聞き慣れない用語のオンパレードで、

「知っているプロトコルが1つもないです。」
「そもそも、3GPP*2ってなんですか?」

と思わずコメントしてしまったことを覚えています。

オンボーディング

入社直後

業務で使用するツールなどの登録手続き・エンジニアとして身につけるべき知識の勉強を中心に行いました。 この際、社内Wikiに、新しく入社したメンバーがやるべきこと・学ぶべきことがまとめられており、 社内手続き・社内ルール・制度などはそこを読めばスムーズに理解できます。 勉強するべきことについても、何について、どのホームページ・書籍で勉強を行えばいいか、まで丁寧に記載されています。 弊社ではUdemyと、オライリー学習プラットフォームに加入しており、動画学習・テキストによる学習のいずれについても手厚くサポートされています。 自分は開発で使用されているGo言語に触れたことがなかったため、このタイミングで基本的な内容を学習しました。

また、CCNAの研修も1週間受講しました。 一緒に講義を受講した同期は早々にCCNAに合格しています。すごい (自分はまだ受験すらしていない…)

また、社長から経営理念・組織・事業内容に関してお話しいただきました。 お話の中で出てきた、”世界を変える Geeks' Playground” というシェアードバリューや、自社開発にこだわる姿勢は、自分もとても気に入っています。

この時期に歓迎会も開催していただきました。 歓迎会はフルリモートの会社らしくオンラインでの開催でしたが、ボードゲームをやって盛り上がったりしていました。

グループメンバーとの顔合わせ

さて、先程お話した通り、弊社は基本的にフルリモートで勤務しています。 ですが、仕事を進めるにあたり、一度はグループのメンバーとオフラインで顔合わせをしたほうが円滑にコミュニケーションを取りやすいです。 しかし、グループのメンバーは北海道から関西まで様々な場所に住んでおり、一同に会するのは簡単なことではありませんでした。 それなら私が皆さんに会いに行けばいいのではないか、ということで入社1ヶ月目にして早速出張を経験することになりました。

顔合わせは、東京・北海道・関西の3ヶ所で行い、以下のようなことを行いました。

  • 業務内容について分からないことや使用するツールの使い方を教えてもらう
  • 簡単なタスクを振っていただいて、プルリクエスト作成などを通して業務の流れに慣れる
  • 食事会
  • 施設の見学

直接顔を合わせて交流することで、グループのメンバーの人となりを知ることができ、安心感が増しました。

余談ですが、顔合わせの際にいくつかの施設を見学させて頂いたので、ここで紹介させていただきます。

  • さくらインターネットの石狩データセンター(北海道)

せっかくなので、さくらインターネットの石狩データセンターを見学させていただきました。 現在、石狩データセンターには3号棟まで施設が存在しているのですが、初期に建てられた1号棟での知見が、その後に続く2号棟以降に反映されており、内部の仕組みが変わっていたりするのがとても興味深かったです。 なお、石狩データセンターには社内のプロジェクトとして動いている石狩ラボ構築プロジェクトの拠点にもなっています(自分もメンバーとして参加しています!)。

  • 理化学研究所 計算科学研究センター (兵庫)

現在運用中のスーパーコンピューター「富岳」に関する展示や、スーパーコンピュータに関する研究成果の展示などを見学しました。 スケジュールの都合上、富岳自体の見学はできませんでしたが、とても興味深かったです。

「富岳」の1ラック模型
「富岳」の1ラック模型

  • 電電宮 (京都)

電電宮は、電気・電波の祖神として信仰されている神社であり、電気事業者のみならず、通信事業者やコンピュータ事業者からも信仰を集めています。 お守りもSDカードやシールだったりと馴染み深いものが多くて面白かったです。

電電宮
電電宮

なお、護持会の会員には、関連する業界の有名企業のお名前がずらりと並んでいます。

護持会会員御芳名 弊社の名前もここに入っています
護持会会員御芳名 弊社の名前もここに入っています

初仕事スタート

顔合わせを一通り終えたあと、初仕事として、モバイルコアのコードの書き換え、具体的には、HSS*3へのリクエストを処理するためのコードの書き換えを行いました。 初仕事として振られたこのタスクは、タスク管理ツールにおいて”難易度: Hard”と記載されており、はじめのうちは自分にできるのか不安でした。

ですが私は、「モバイルネットワーク?アタッチ?HSS?なんですかそれ?」という状態 + Go言語未経験ということでほぼ0からのスタートだったため、始めはかなり基本的な内容から教えていただきました。 その後上司とペアプロを通して、コードの書き方を教わりながら実装をはじめていきました。 もちろん、ペアプロもオンラインで行っています(VSCodeのLive Share、便利ですよね)。

未経験者である私に根気よく説明してくださった諸先輩方には本当に感謝しています。

リモートワークにおけるコミュニケーション

ここからは仕事を進めていく中で、自分にとって助かっている社内のコミュニーケーションの方法や取り組みについて紹介させていただきます。

朝会

毎朝実施しています。 基本的には、私が前日にやった作業を報告し、疑問点などがあればその場で確認しています。 このパラメータはどうすればいいのかという開発業務の相談から、社内手続きなどのちょっとした不明点まで、色々な疑問を気軽に聞くことができたので、この朝会の存在は個人的にはとても助かりました。

また、雑談で盛り上がることもしばしばあり、グループの皆さんと仲良くなるきっかけにもなったと思います。

Times

弊社ではSlackを利用してコミュニケーションを行っているのですが、社員の中には、自分用のチャンネルを作成し、times(分報)として利用されている方もいます。 自分の所属するグループでは全員がtimesを持っていたので、自分も配属初週に何となく作っていました。

当初は活用方法がよく分かっていなかったので、自身がその日やったことを日報としてまとめ、翌朝の朝会ではその内容を元にお話する、みたいな使い方をしていました。 現在では、日報に加え、自分の取り組んでいる内容をほぼリアルタイムで発信する、という使い方が多くなっています。 〇〇を始める(完了した)、みたいな報告の他にも「開発を進めているコードなどでエラーが発生した」や、「この部分についてどのように対応するか悩んでいる」みたいな感じで自身が躓いている点・考えを整理している過程なども書いていくようになりました。

このような発信をしていると、親切な先輩方がアドバイスをくれるようになり、自分1人で考えるよりもスムーズに仕事が進むようになりました。 (みなさん、いつもありがとうございます)

このように、気軽にアドバイスを貰える場としてtimesの存在もとても助かっています。 (この記事を書いている際にも、自分のオンボーディングの過程を思い出すためのツールとして大活躍してくれました。)

このブログを書く過程で知ったのですが、Working Out Loudという方法論が存在しており、上記のような自分の取り組みはWorking Out Loudに似ているのかもしれないなと思いました。

blog.studysapuri.jp

余談ですが、皆さんのTimesを見ると、有意義な情報が共有されていたり、その方の人となりを知ることができるのでとても楽しいです(ただし、ずっと見ているとあっという間に時間が過ぎていくので程々にしていますw)

会社全体としての取り組み

フルリモートの環境でも円滑なコミュニケーションを取るために、弊社ではいくつかの取り組みが行われています。

全社定例

これは文字通り全社員がオンラインで毎週行っている会議で、基本的には各グループの経過報告の場です。 しかし、それ以外にも経営陣の方がお話をしてくださったり、会議後半の時間で持ち回りの司会が雑談のネタを提供したりと、課外のメンバーの人となりを知る機会としても機能しています。

四半期会議

四半期に1回、会社のメンバーがオフラインで集まり、課題感の共有や、特定のテーマに関して議論するグループワークを行う機会があります。 普段仕事での関わりが少ない方とも交流ができるとてもいい機会です。 私は、配属が決まる前に四半期会議に参加させていただく機会があったのですが、とても雰囲気が良くて、楽しそうな環境だなと感じていました。

まとめ

以上のようなオンボーディングプロセスを経て、私は無事に初仕事を終えることができました。 初仕事を通して自分が書いた1000行以上にわたるコードを見てとても自信が湧きました(もちろん、行数が全てではありませんが)。

現在は上で述べたようなモバイルコアのソフトウェアの開発に加えて、SIMカードのプロファイルの検証や検証に用いる機器の環境構築などのハードウェアに関する業務も行っています。 ソフトウェアからハードウェアまで幅広い業務に携われるのもこの仕事の魅力だと感じています。 特に、配属前にソフトウェアもハードウェアも両方触れる環境で働きたい、と考えていた自分にとってはまさに願ったり叶ったりな環境であり、毎日楽しく仕事をさせてもらっています。

オンボーディングを通して、リモートワークの良さは、目的に合わせて柔軟に働く場所を選べることにあるのだと感じました。 入社前の自分はリモートワーク = 常に自宅で働き続けること、みたいな固定観念があったのですが、実際にはそんな事はなく、私の場合でも物理的な作業が必要な場合は現地に赴いたり、それこそ今回のように顔合わせの際には直接会うために出張したりと、状況に合わせて柔軟に働く場所を選んでいます。

自分もいち早く戦力として活躍できるように、引き続き頑張りたいと思います。

なお、弊社のリモートワークにおける働き方については、当ブログの他の記事でも紹介されています。 気になった方は是非みていってください。

最後に、宣伝になりますが、11月28日に開催されるCNTOM2023にて、モバイル未経験の新卒がどのようにして業務を進めていったのか、というテーマでお話しさせて頂く予定です。 上で紹介させていただいた、これまで自分が取り組んできた仕事についても具体的に触れていくつもりです。

  • 日程: 11月28日(火) 17:10 - 17:30
  • 登壇者: BBIX株式会社 清水 雄斗 (今回は親会社のBBIXがスポンサーをしているので、BBIX社員として登壇させていただきます)
  • 登壇テーマ: 「モバイル未経験から新卒配属5か月でモバイルコアとSIMの開発運用で活躍してる話」

CNTOMの詳細や申し込み方法につきましては以下のリンクをご覧ください。

cntom.jp

ここまでお読みいただきありがとうございました。

*1:携帯電話の通信網において、基地局より先にある、認証基盤や交換機といったネットワークの中核的な要素のこと。

*2:3GPP: モバイル通信に関する標準化を行っている団体、もしくはその団体が公開している技術仕様書のこと。仕様書は、扱っている技術カテゴリについて細分化されており、更にそれら1つ1つの仕様書についても数百ページに及ぶ。

*3:Home Subscriber Server。モバイル通信の認証認可を行うサーバーのこと。