MWC2024感想レポート

はじめに

こんにちは、BBSakura Networksの秋山です。
今回はスペインのバルセロナで開催されたMWC2024に来場者として参加させていただいたので、その感想をレポートしたいと思います。 MWCとは前回の記事で解説されているように総出展者数2700社以上、参加者は200カ国以上から10万人以上にも及ぶ大規模なモバイル通信関係の展示会です。
自分は普段OCXのバックエンド開発をしており、モバイル通信とは直接的な業務の関わりがない&まだ新卒2年目の若造だったということもあり、正直参加は難しいかなと思っていたのですが、立候補したら快く参加させてくれました。会社には感謝してもしきれません。

全体の所感としては、思ったよりモバイル通信に特化した展示というわけではなく、メインがAIやセキュリティでもモバイルが絡んでいればよしとしているような雰囲気があり、様々な製品を見ることができてとても楽しめました。もちろん、モバイル用のアンテナや監視ツールなど、モバイルに特化したものもあり、5日間ありましたが飽きることはなかったです。

MWC会場前にあったMWCと書かれたモニュメントの写真
MWC会場前にあったモニュメント

面白いと思った展示

6G対応アンテナ

Ericssonさんのブースで6G対応のアンテナが展示されていました。このアンテナはセンチメートル波を採用しており、7GHzから15GHzの周波数帯域を使うことができるように設計されているとのことです。8GHzという広い帯域での通信を実現するために、この四角のアンテナ内部で400MHzの帯域幅を持つアンテナ要素を組み合わせてアレイ(複数のアンテナ素子が連続して配置されている状態)を構成しているとのことで、そのアンテナ要素の制御に関する開発を進めているということでした。6Gが実際のモノとして実現されているのを見るのはこれが初めてで、5Gの先の6Gを既にここまで進めている企業もあるのかと衝撃を受けました。

Ericssonブース展示されていた6G対応の次世代型アンテナの画像
6G対応の次世代型アンテナ

量子通信

スペインの政府機関から補助を受けているグループが集まって量子通信に関する展示を出していました。モバイル通信とは直接的な関係はないですが、認証系で使われることが期待されるとのことでした。画像は量子通信で認証を行っている様子で、ラック内上部の機器が通信の暗号化におけるエンコードをしていて、ラック内下部の機器はその暗号化における鍵の発行を行っているそうです。量子通信は概念を聞いたことがあるくらいでしたが、実際に量子通信が実用化されているのを見るのは初めてで技術進歩の早さを実感しました。

2つのラックの上にそれぞれPCがあり、PCからラック、もう一方のラック、PCへ量子通信ができている様子
量子通信が行われている様子

モバイル銃痕分析機

スペインの警察も展示をしていました。展示されているのはモバイル銃痕分析機で画像の中で床に置いてある部分をリュックのように背負って、ケーブルの先を手に持って銃痕にあてがうようにして使うとのことです。手に持っている部分にはレーザー照射装置が内蔵されており、銃痕にレーザーを当てて、そのエネルギーで散った物質による光の波長変化をカメラで読み取って銃痕を分析するようです。想定されている銃痕として画像にある小さな拳銃の弾からアサルトライフルの弾まで想定されているようで、日本とは想定しているものが違うなと思ったのを覚えています。

モバイル銃痕分析機が展示されており、机の上のPCと繋がっている。机の上には薬莢がおいてあり、拳銃からライフルの薬莢がサンプルとして置いてある
モバイル銃痕分析機の展示

スペインでの生活

今回なぜ自分でもMWC2024に参加できたのかというと、旅程を組んでくださった方が旅費を徹底的に削って下さり、より多くの人間が参加できるようになったためです。飛行機はなるべく安い便で行き、宿もホテルではなくAirbnbで家を丸ごと借りて、参加メンバー全員で泊まっていました。家を借りているため、キッチンや調理器具が非常に充実しており、食事もほとんど参加メンバーで自炊していました。会社の人と一つ屋根の下で生活するというのはもちろん、同じ食卓を囲むという経験は新鮮で楽しかったです。
複数人が各々で食べたいものを作るとライスとピザとハンバーグの山が食卓に並ぶという知見を得ることができました。

各々が料理をした結果食卓に並んだのはライスとピザとハンバークの山
スペインでの自炊の様子

スペイン観光

空いた時間でスペインの観光もしました。遠出するほどの時間はなかったので、自分はバルセロナ市歴史博物館に行きました。ここはバルセロナの旧市街という場所の地下にあるという特徴があります。バルセロナの旧市街は地理的にはかつてのローマ時代に都市があった場所で、現在の旧市街はそのローマ時代の都市遺跡の上に建っている状況です。このバルセロナ市歴史博物館はその地下遺跡に繋がっており、地上は旧市街になってますが、地下に潜ると1000年以上前のローマ時代の遺跡に切り替わるので結構な衝撃がありました。

バルセロナ市歴史博物館の地下にローマ時代の民家などを含んだ街の遺跡がある
バルセロナ市歴史博物館の地下遺跡

最後に

今回のMWC2024での経験はとても貴重なものでした。6Gや量子通信など、今までニュースでしか接することがなかった技術を実際に目にし、スペインで生活や観光を経験することができて、参加の立候補をして本当に良かったと思います。こうした若手でも意欲があればチャンスを掴める環境をありがたく思うと共に、ここで得た経験をなるべく還元しながら来年以降も新たに若手が参加できる雰囲気作りに貢献したいと思います。

おまけ

スペインのゴミ出しは全種類毎日出せるらしく、便利さに感動しました

スペインの道路には大きなゴミ箱があり、毎日回収されている
スペインのゴミ出しはとても便利