OCXを支える技術 番外編 BBSakuraのCEOがOCX(Open Connectivity eXchange)にかける想い

ご覧いただきありがとうございます。BBSakura Networks CEOの佐々木(@sbsasa)です。

OCX(Open Connectivity eXchange)とは?

OCXはBBSakura Networksが開発したネットワーククラウドのサービスです。

WebのポータルやAPIを通じてオンデマンドにネットワークを作るのに必要なリソースを組み合わせて利用することが可能です。

OCXのイメージ。OCXにDC拠点、インターネット、クラウドサービスなどが接続されている。
OCXのイメージ

OCXの開発を始めたきっかけ

当社の親会社のBBIXでは、2013年、大手携帯事業者、ISP、データセンター/クラウド事業者、コンテンツ事業者の皆様と、クラウドコンピューティングやスマートフォンが中心となる時代に向けた理想的なトラフィックの流通を目的とし、Cloud IX研究会 を立ち上げておりました。

このCloud IX研究会の中で討議されていたアイテムの一つが、BBIXのIX Fabric上で、Cloudやソーシャルゲームプラットフォーマー等の間をオーバーレイのSDN(Software-Defined Network)でオンデマンドに結ぶサービスでした。以下は2013年当時に議論の内容をBBIX社内で説明した際の資料ですが、実はOCXの今のアーキテクチャに非常に似通っております。(笑)

ネットワーク概念を説明するスライド。BBIXのL2IXの上にCloud IX(SDN)が載っていて「論理的に別面で提供」と説明されている。

研究会での議論や実験結果をもとに、BBIX社内で2013年から継続して、事業化の検討を行っていたのですが、「通信事業者」を母体とするBBIXではプラットフォームのソフトウェア開発力が足りず、時間だけが経過した状況でした。そんな中、2019年にBBSakura Networksを設立し、さくらインターネットからのメンバーを受け入れた混合チームができたことで、急速に開発プロジェクトが進むことになります。

通信ネットワークの今後

従来通信ネットワークは人間が人間とコミュニケーションを取るために使われるインフラでしたが、約10年ほど前から、人がデータにアクセスするトラフィック量(North-South Traffic)より、サーバー/データセンター間の通信(East-West Traffic)の方が多くなってきたと言われております。 つまり、これからの通信インフラというのは、人間が使うという観点より、コンピューター・ソフトウェアにとって使いやすいインフラであるべきだと考えております。そこでAPIで制御可能なSoftware-Defined Networkの仮想ネットワークの構築を始めました。

これからデジタルツインと言われる時代を迎え入れるにあたり、現実空間の様々なデータを仮想空間(クラウド)へリアルタイムにアップロードをし、そのシミュレーション結果を現実空間へフィードバックする環境が求められるはずです。そういったデータの流通を実現するための基盤となるネットワークインフラにしていきたいと考えております。

現実空間と仮想空間が、情報収集とフィードバックのループを回している図

OCXで目指す世界

とはいえ、AIやソフトウェアを顧客としたビジネスを始める時代にはまだ少し早いと思っており、まずは「人」が簡単にポータルからオンデマンドに、クラウド、データセンター、アクセスラインや仮想アプライアンスを柔軟に組み合わせてas a ServiceとしてNetworkを構築できるサービスを目指して以下の3つのコンセプトを意識してサービス開発を始めました。

  • 全国カバーのネットワーク
  • 地域を主人公にしたビジネスモデル
  • 「モノ」が中心となった世界におけるNaaS*1のあり方

全国をカバーするネットワーク

OCXはどこでも、誰でも、どんなものでも接続できるプラットフォームを目指しており、「全国網」としてのプラットフォームを構築することを前提にサービスを開始しております。

全国に設置するアクセスポイントにおいて、全地域同一の価格・品質のサービスを提供し、地域間格差のない、クラウドネイティブな通信環境の実現を目指しております。

日本地図上の複数箇所にピンが立っている図

参考: OCX提供拠点一覧

地域発のDX推進

全国をカバーするネットワークを整備するにあたり、自社だけでの展開には限界があります。そこで考えたのが協業によるアクセスポイントの整備です。OCXのOpenという言葉には、全国の様々なエリア・規模・資本の事業者様と協業することで、一つの大きな接続基盤と作り上げたいという思いを込めております。

地域固有の課題を発見し、それをDXにより解決をかけていくため、様々な地域・業種の事業者様と協業し、拠点を開設しております。

政府の掲げる、デジタル田園都市国家構想 を実現するには東京や大阪で享受できる環境と同等のインフラを地域に整備する必要があると考えております。また、そのインフラは税金や補助金などに頼らなくても持続できるものでなければなりません。 OCXでは様々な事業者様の協力のもと、民間の力を結集することで、このインフラ整備を実現し、各地域に東京・大阪同等のインフラを整備することで、地方からのイノベーションを促進し、地方にいるソフトウェア、ネットワークエンジニアの力を借りて、日本のデジタルの力を底上げしていきたいと考えてます!

日本地図上の複数箇所にOCXの拠点が示され、その周りでソフトウェアエンジニアとネットワークエンジニアが働いている絵

コンピューターとネットワークの融合

全国に面としてのネットワークを整備できたら、コンピューターとネットワークサービスのより緊密な融合を図っていきたいと考えております。昔Sun Microsystemsが"The Network is the Computer"という提唱を行なっておりましたが、まさにこの世界を実現していきたいと考えております。 ソフトウェア、コンピューターのためのネットワークの始まりです。 様々なサービスをネットワークと融合されたコンピューターリソースで処理できるよう、これらに必要なソフトウェアの開発も行なっていきます。

様々なデバイス、モノが全てネットワークに接続されるとき、それらのデバイスがニューロンとなり、まるで一つの大きな脳のようになり、自律分散的に自己判断・推論できるようなそんな世界が作れるのではないでしょうか?OCXが完成する時、デジタルツインの実現ができていると信じております。

地球の上空に人間の脳が浮かび、その中にPC、車、信号などが示されているイメージ図

最後に

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

連載記事はこの記事についているタグ OCXを支える技術 からお読みいただけます。

我々はまだ入り口でもがいている状況ですが、この基盤を完成させ、また世界へ展開していきたいと考えております。

一緒にサービス・ソフトウェアを作っていくことにご興味いただける方がいらっしゃいましたら、お問い合わせフォームなどから是非ご連絡くださいませ。

*1:NaaSはみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の商標で、当社は商標の使用許可を得ております。